効率的で意味のある換気をするよう指導を ~教室のCO2濃度は何のために測定?~

立冬もとうに過ぎ、学校では暖房をつける時期となってきました。夏場のクーラー使用の際にも悩ましかった『換気』。冬はどうするのがよいでしょうか。

学校環境衛生基準では

教室等の空気環境などは、学校環境衛生基準では、以下のように定められます。


検査項目 基準
(1)換気 換気の基準として二酸化炭素は、1500ppm以下であることが望ましい。

(その他、温度などの項目はここでは割愛します)

二酸化炭素濃度(CO2濃度)は『空気の汚れの指標』です。1500ppmを越えたらすぐに生命の危険があるわけではなく『汚れた空気環境は学習など学校生活環境に不適ですから換気は十分にしましょう』、というわけです。ちなみに外気のCO2濃度は400ppm前後です。

報道などでCO2濃度1000ppm以下にするべき、ということがちらほら…

ところで、11月に入ってから『CO2濃度は建築物環境衛生管理基準では1000ppm以下となっている』ので『換気の目安としてCO2濃度を経時的に測定し』、『CO2濃度は1000ppm以下にしなくては』といった報道が散見されるようです。

学校環境衛生基準に則って安全衛生管理をされるように、学校側へ指導を

もちろんCO2濃度は低い方が空気は澱んでおらず、換気が十分であることを示します。けれども、学校現場においては学校環境衛生基準が定められており、それを指標に換気をすることが大切です。

CO2濃度の数値だけを見て、その現場の状況(教室の配置、子ども達の人数、窓の数、学校で実際に実施している換気状況など)を無視して一喜一憂し、寒くなるほどの換気をするのは意味があるでしょうか。

学校薬剤師の先生方、担当校へ環境検査を実施される際には今まで通り『CO2濃度は1500ppmを越えないことが望ましい』という換気の基準を念頭に置き、実際の検査結果を基に学校側への換気指導(窓開け、換気扇の使用、第一種換気システムの設置と使用の勧め)などを、学校の実情に合わせてご指導ください。