ご挨拶
子ども達の快適な学習環境を守るために
~学校薬剤師がやるべきこと~
令和6年は、富山に生まれ富山で育った多くの富山県民が、生まれて初めての震度5強という激震の体験から始まりました。
これまで研修会等で何度も災害時の学校薬剤師の活動を見聞きしてきましたが、いざその状況になったとき、学校が求める、学校から頼られる活動ができたでしょうか。又、今回の地震は休日に発生したため、児童生徒の安全確保は各家庭に委ねられましたが、もし、平日であったら避難誘導をはじめさらに由々しき状況が発生していたかもしれません。
地震発生から4か月以上経過しましたが、未だ復興途上の地域も多くあります。
比較的被害が少なかった富山市で、県民会館・防災センター・県庁南館・富山県警本部の建物と松川に挟まれた道路が5月になった今も通行止めです。今回を契機に富山県の各市町村、各教育員会も、避難訓練や避難マニュアルの改訂に取り組んでいます。幸い、昨年の研修会で、学校の薬品管理を学んだことで、事前に薬品庫の管理状況を確認した先生方も多くいらしたことが、薬品庫の転倒や薬品庫内の薬品容器の破損や薬品の漏出を防いだかもしれません。
学校薬剤師は、環境衛生検査を実施する際、自分の目で学校の実情を確認します。そこでの気づきを、もっと積極的に学校に伝えましょう。
これからは、児童生徒数の減少で学校の統廃合が進みます。統廃合は地域住民の合意がなければ進みません。その際、学校が地域のコミュニティの要を担う、ということで地域住民の要望も十分取りいれた新築の校舎が提示されます。しかし、学校はあくまで、児童生徒の学習の場であることを忘れてはいけません。学校は、児童生徒の快適な学習環境を提供する場です。そこにコミュニティの機能がプラスされるのではないでしょうか。
環境衛生検査の結果で、測定値に対する適・不適の指摘だけなく、自分の目で見た事実、気づきを積極的に提言しましょう。言っても何も変わらないではなく、言わなければ何も変わりません。
学校の現状と児童生徒の日常を見聞きできるのは、学校薬剤師の「特権」です。この特権こそ、「学校薬剤師ができること」に繋がるのではないでしょうか。
富山県学校薬剤師会
会長 宮林 紀子