照度および照明環境
「教室等の環境にかかる学校環境衛生基準」の『採光および照明』部分に関しての検査です。
詳細については『学校環境衛生管理マニュアル「学校環境衛生基準」の理論と実践」【平成30年度改訂版】』のp.21~、57~、178~ などを参照してください。
検査の概要
「照度」と「まぶしさ」の検査に分けられます。また、測定する教室等は学校の実情(要望)等に合わせます。毎年同じ教室での測定、毎年違う教室や階を変えての測定、季節を変えての測定など、いろいろなパターンでの測定で学校へ指導助言ができます。
国の「GIGAスクール構想の実現」により、1人1台端末等のICT環境の活用の授業がふえています。コロナ禍を経て、その進捗状況は著しいものがあります。机上照度を図るのと同時に、ICT端末を使用している状態での画面の見やすさ、まぶしさがないかどうかのチェック、そして指導助言もお願いします。
さあ、測定教室へ向かいましょう
① 教室の照明環境
直ぐに照度測定をするのではなく、窓や扉の位置、教室前方の方角、照明のレイアウトなどを下図のようなものに書き込み、次のチェックをします。
- 照明器具清掃状況と故障有無
- 光源は蛍光灯かLEDか
- 採光を邪魔するような建造物や樹木などは窓の外にあるか
- カーテン・ブラインド等採光を調節するものの有無と、その使用状況は全開?半開?全閉?
② まぶしさのチェック
教室内の条件の悪いと思われる席に座り、不快な眩しさが無いかをチェックする、と、マニュアルでは記載されています。
なお、特に黒板の見え方に関しては次のようにチェックします。
教室最前列と最後列の廊下側の席に座り、A4の紙を筒状に丸めて望遠鏡のように持ち、黒板左上をのぞき込んで眩しい光源があるか無いかを見てください。
学校環境衛生マニュアル p.65 より
③ さあ、いよいよ照度測定です
教室内の照明は基本的に点灯して測定します。照度計に覆いかぶさって影ができないよう、立ち位置に注意してください。授業中に測定する際は、子ども達が興味津々で寄ってきます。これも正しい照度測定のために近寄らないよう声をかけてあげましょう。
黒板上、机上共に9カ所測定しますが、”基準に示されている図に最も近いところ”とあります。その教室の実情に合わせての測定をしましょう。
照度計よりも離れて立ちましょう
測定時には白衣では反射して明るくなることがあります。また、窓側に立つと暗くなることがあります。これらのことも注意を。
基準に記載されている測定のための図を判りやすく記入しやすく富山市で改変したものです
最大照度に〇、最小照度に△で印をつけることで、照度比の計算が楽になります。また、一瞥してどこが明るく、どこが暗いかがわかることより、指導助言のポイントともなります。
黒っぽい服で、影ができないように立って測定を。
教室内にテレビ、スクリーンがある場合はその中央の垂直面で測定します。
最近は授業のICT化、投影機器の多用、電子黒板の利用、ホワイトボードの利用など、状況は多様化しています。実情をよくリサーチし、児童生徒が快適に学習できる照明環境であるか否かをよくチェックし指導助言につなげてください。
照度環境の基準
- 照度(黒板面、机上)
教室及びそれに準ずる場所 | 300ルクス以上。500ルクス以上が望ましい。 |
コンピューターを使用する教室の机上 | 500~1000ルクス程度が望ましい。 |
- 照度比(黒板面、机上)
10:1を超えない。(やむを得ず超えた場合でも20:1を超えない) |
- テレビやコンピューター等の画面の垂直面照度
100~500ルクス程度が望ましい。 |
- まぶしさ
黒板の外側15%以内の範囲に強い光源が無いこと。 |
見え方を妨害するような光沢が黒板面・机上面に無いこと。 |
見え方を妨害するような伝統や明るい窓などがテレビやディスプレイ画面に映りこまないこと。 |
測定と、環境のチェックだけではなく、
照度測定は、基準に準じているかどうかを判断するだけではありません。もし、基準から外れていれば、なぜそうなるのか、対策はあるか、どうすればよりよい照明環境になるかを指導助言していきましょう。