保健室では、以下のことに注目して検査及び養護教諭からの聞き取りを行います。
清潔、整理整頓 |
明るさ(推奨照度は500ルクス) |
医薬品管理(内服薬、外用剤の在庫、管理記録の有無、児童生徒の手が届かないようにしているか) |
エピペンや抗アレルギー剤の保持(預かり)状況や、食物アレルギーを持つ児童生徒の把握と全職員情報共有状況 |
温水対応、エアコンの有無 |
一時休養のためのベッド数、リネンや布団の管理・衛生 |
保健室内のトイレ、シャワーなどの設置状況 |
カウンセリング室や保健室登校の児童生徒たちの居場所確保 |
また、消毒用アルコールの保管・保持状況についてもチェックを。エタノールは濃度とその量に応じて危険物に指定されます。また、期限切れアルコールを下水に流すと機器の破損や家事につながる可能性があります。水のように見えてもそれは水でないことを薬の専門家の視点から指導助言を。
よくある質問
新しい生活様式の下、やっと実施の遅れていた児童生徒の健康診断が始まりました。養護教諭の先生から、「歯科検診の際に使用する消毒剤等が学校では手に入らない。学校薬剤師の方で準備してもらえないか」と突然電話がかかってきました。
これは学校薬剤師が購入するべきものなのか?
消毒剤が品薄である現在、薬剤師に相談されたのかと思います。信頼を寄せてられていて、学校と良い関係である証拠です。けれども、健診は学校設置者が実施するものですから、学校でなくとも、行政側で準備はされていると思います。そちらに相談されるよう養護教諭の先生にお伝えください。(R2年9月)
職員の先生方用に常備薬(頭痛薬、総合感冒薬などの内服薬)が職員室内に保管されていました。児童生徒用の内服薬ではなく、もちろん服薬させることは絶対無いとの確認は取りました。けれども保管方法は保健室であるべきではないでしょうか。
医薬品の適正な保管管理をしているかどうかは学校環境のチェック項目の一つになります。近年、保健室は治療を行う場所ではない、との認識のもと、内服薬は置いていない学校がほとんどかと思われます。ただし、職員用の内服薬であっても学校で適正な管理を行うことは必要です。職員室で保管していても施錠はされていますか?管理者は誰ですか?それらの事をチェックし、保健室で管理することが適正であると判断されればそのようにご指導ください。(H29年度)
保健室内に沢山の水銀体温計が保管されていました。扱いに困っていらっしゃいました。学校薬剤師としてはどうすればよいでしょうか
★令和3年2月末時点で、自治体により順次水銀体温計や血圧計は回収をしているとの情報があります。担当校の状況を再度チェックし、適切な助言をお願いします。
平成29(2017)年8月16日に国際条約である「水銀に関する水俣条約 」が発効し、日本も水銀の使用製品の製造・輸出入が原則禁止になりました。
環境省『水銀に関する水俣条約の概要』
https://www.env.go.jp/chemi/tmms/convention.html
日本医師会『医療機関の皆様へ』
http://dl.med.or.jp/dl-med/doctor/haiki/r20160401.pdf
製造輸出入が禁止であり、家庭などにある水銀体温計の使用および現在薬局などに在庫している水銀体温計の販売が禁止されたわけではありません。
しかし、水銀式体温計は割れやすく、こぼれた水銀を回数することは困難であることから使用を控えているのが現状かと思われます。
学校では水銀式の血圧計を使用してはいないが保持している、というところも多くあるようです。
現時点では学校の設置者である各自治体では水銀式体温計の回収などについては策を持っていないところがほとんどかと思われます。子ども達の手の届かないところに保管し、廃棄申請を自治体教育委員会にされていくのがよいのでは、などと指導助言をされてください。
なお、1本の水銀体温計からこぼれた水銀が気化しても、通気性が十分であればその部屋での吸入による中毒が起こることはほとんどありません。環境に対する水銀の蓄積を考えた場合が問題なのです。
引用:日本中毒情報センター『保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報 水銀体温計』(H29年度)http://www.j-poison-ic.or.jp/ippan/M70138_0100_2.pdf